議論 (Baldwin #3)
マークは、私よりも1つ年上、長身、ハンサム、
そして物静かな紳士、人気が出ない訳が無い。
マークを交えて、よく会社の Staff と遊びに行った。
我家の家族も一緒に、デイ・キャンプに出かけたり、ボーリングをしたり、
カラオケをしたり、寿司を食べに行ったり、飲みに行ったり・・・
我家の家族とは、文字通り家族ぐるみの交際と成っていた。
ある日、ボルドウィン夫妻の友人、
3人がアメリカから日本に遊びに来た。
マークより、
「是非、Hirabayashi Family を紹介したい。
皆で、家に遊びに行っても良いか?
また、彼等の中に、建築士が居るので、
日本家屋の典型例を見せてやって欲しい。」
「勿論OK!」
我家は、当時、新築で、2世帯住宅。
父も母も同居しているが、親の住む棟は、純粋な和風、
我々が住む棟は、洋風としてあるが、
基本的には、木造の日本従来の工法建築である。
ボルドウィン夫妻に連れられて我家に到着したアメリカ人3人、
まさしく興味津々という顔で、
入念に我家をチェックし、大きな太い原木が、
そのまま梁としてある屋根裏を覗き、写真を何枚も撮っていた。
私の行き付けの居酒屋に行き、また我家に戻り、
居間でウィスキーなどを飲みながら食後の歓談・・・
そこで、太平洋戦争の原爆投下の話になった。
彼等は、アメリカ兵の、あれ以上の犠牲を防ぐ為に、
原爆使用は仕方無かった、
原爆のお陰で、多くのアメリカ兵の命が救われた、と言う。
お互いの歴史認識に関して、めったに異論を挟む事はしない私、
さすがにここは、譲れなかった・・・
「断じて、それは、違う。 日本は、その時、
もうアメリカと戦うチカラなど、残っていなかった。
瀕死の状態だった。 原爆投下などしなくても、
日本の降伏は、時間の問題だった。」
この件については、何十分も話をした。
やはり、お互い、多少は愛国心からの感情も出て、
熱い論争と成りかけたが、最後は私の言い分を理解してくれたと思っている。
戦争の話を切り上げ、深夜まで皆で呑んだ。
こういう時、お酒というものが、実にありがたいモノであると思う。
家内の運転で、酔った全員を、マークのマンションへ送り届ける。
車内で、「ビートルズ」のカセットをかけた。
全員で合唱となった。 大騒ぎ!
良い音楽は、世界共通で愛されるものだ。