握手 #2 (カナダ1回目 #16)
社長の身なりも、その若い従業員の身なりも、さほど良くない。
会社の建物、備品も豪華という言葉とは縁遠い。
駐車場には、いわゆる高級車など停めていない。
一生懸命に社長にポーランド語で質問をする従業員・・・
それに対して、また、熱意を持って指導をする社長・・・
私が居る事など忘れたかのように、ハナシを続けている。
真剣、そのもののであった。
言葉は分からなくとも、2人の、その瞳を見れば、分かる。
その姿に、その瞳に、実は、私は感動をしてしまっていた。
その2人の姿に、少々、涙腺が弱く成りかけた。
母国を離れ、このカナダで、同じ出身者を集めて会社を創り、
皆、協力して、異国の地で、頑張って生きている人々・・・
きっと、家族も居るだろう、その家族の為、賢明に努力をしているのだ・・・
怠惰での、納期遅れでは、実は、無かったのではないか・・・
ビジネスは、ビジネス、とは思う、私情は禁物だ、
が、先般の、あの厳しい叱責を、私は既に後悔していた。
勝負という意味では、既に、私の負けであった、
負けたかったのかも知れない。 負けるべきと考えていたとも思う。
私情が挟めないような仕事は、私は金輪際、したくもない。
弱い立場の人間を、「お金」をキーワードに、
結果として脅してしまった、そんな思いに強く捕らわれた。
図面の見方も、始めて見る日本の図面、勘違いも、致し方ないトコロもあったろう。
工場見学を終え、再度、社長室に入る。
大人3人ほどで狭さを感じる広さの社長室、
彼のデスクの後ろの棚には、彼の息子らしき写真が・・・ 微笑んでいる・・・
彼の油まみれの手と握手をし、こう告げながら、同社をあとにした。
「今回、変更した納期を守れば、また、更に追加の仕事を依頼するので、
約束をきちんと守るように、期待している。」
こんな時、握手の習慣が、実に合っていると、感じる。