非常口シート (カナダ2回目 #1)
2004年の11月、会社よりカナダへの2回目の出張依頼があった。
カナダ駐在員であるS君のお父さん、日本にみえたが危篤状態となり、
イザという時S君一家が、いつでも日本に帰国出来るように、
私に、S君との臨時交代要員としてカナダに行って欲しいとの事であった。
私は二つ返事で快諾し、カナダに飛んだ。
カナダへのフライトは、我社とノースウェストの契約で、
席が空いていれば、往復のうち、片道のみ、ビジネス・クラスとなるが、
今回は、帰国の楽しみという事で、帰路をビジネス・クラスとした。
行きの、エコノミー・クラスでも、私はゴールド会員、なので自由に席が選べる。
ノースウェストのHPに行き、好きな席をクリックして選択出来る、
非常口の2人掛けのシートを選んだ。
前が、CA用の座席で、前後の余裕がかなりあるトコロ。
さて、現地での自炊生活、
前回は、自炊など全く念頭に無かったので、何も準備をしなかったが、
今回は、色々と準備をし、買い揃えた。
現地のスーパーで売っていない事はないが、種類が限定されるので、
レトルト食品、ふりかけ、ラーメン、味噌汁、海苔、マヨネーズ、ウスター・ソース・・・
また、前回のカナダでの滞在では、私の感性で、
カナダで、私が面白いと思ったモノを選び、それを紹介したら、と、
数名の方からアドバイスを受けていた。
それを帰国したら、オークションに出品する、という案で、
仕事の合間に、そういう事が出来れば、面白いかな、と考え出発した。
カナダへのフライト、同じ飛行機で数百人ほどの人と、アメリカに向かう。
全ての人が、それぞれの人生を歩んで、
このフライトというカタチで、たまたま、同じ空間の中に居合わせている。
その日の数日前、イラクで一人の日本人青年が、
武装集団に捕らわれ、人質となり、そして命を奪われていた。
私はフライト中、非業の最期を遂げた、「彼」の事がアタマから離れなかった。
「彼」を、飛行機に乗せてあげたかった、と・・・
危険地域に無謀にも単身入り込んだ「彼」を非難する人は多かった、自業自得だと。
しかし、かけがえの無い命が奪われるほどの事を「彼」はしたのか、
自分の愛する子供が、もし「彼」なら、私は決して自業自得などとは言わない、
自分の命と差換えでも助けて欲しいと願うだろう。
どれほど、日本に帰りたかっただろう・・・
どれほど、自分の行いを悔やんだだろう・・・
どれほど、愛する人達に逢いたかっただろう・・・
不覚にも、涙腺がゆるんだフライトであった。