通関業務 (名古屋空港 #4)
空港での想い出として、通関業務を一人でこなした、これも忘れられない経験だ。
私は当時、まだ20歳代であった。
韓国の顧客から空輸されて来た、会社で使う無償の支給部品、これが、名古屋空港に到着したので、引き取って欲しい、と名古屋空港の税関から会社に電話が入った。
当時、海外のビジネスに精通した人が、会社に一人も居なかった。
私は、当時もやはり、好奇心があったのだろう、「じゃあ、私、行って来ます!」
そんな大した事は無いだろうと、タカをくくっていた。
荷物は、とても人間のチカラでは持てない大きな部品。
これが木箱に入っている。
名古屋通関に行き、現物の荷物を見せられ、通関士から説明を受けたのは、
「我々、通関士には、この荷物に触る権利は有りません。ですから、全て、荷受人のアナタが手続きをしなければなりません。」
そこで、最初の指示、くぎ抜きを私に渡し、
「木箱の蓋を開けて、中身を私に見せて下さい。」
何とか、蓋を開ける。 そして、質問を受けた。
「これは、何ですか?」
何と言われても、機械の部品、どう説明すれば素人に分かるのか・・・
その「お役人」と、彼の事務所に行く。
壁に面した彼のデスクの、横の椅子に座るように奨められ、こう言われた。
「あの物品の分類を決めて、課税金額を決めるのが、私の仕事です。
アナタは、その税金を支払って、荷物を受け取る事が出来ます。
この本の中から、該当する項目を探して下さい。」
と電話帳のような分厚い本を3、4冊、渡された。
その本の中身を、最初は真面目に見ていたが、あまりのコンテンツに、いい加減、面倒になり、私が、「ナットで、いいです、ネジのナットで・・・」、と言うと、
「大きなナットですなぁ・・・分かりました、では、分類はナットですね・・・ナットは、この分類のページです。大きさ、重さから判断して・・・そうなると、関税と消費税を合わせて、xxxx円と成ります。これを銀行に行き、税関の指定口座に振り込み、その証書を、私のトコロへ持って来て下さい。それで、この荷物をお渡しします。」
言われる通りに空港近くの銀行に行き、また空港に戻り、証書を渡して、最後には、近くに居たフォークリフトの運転手に頼み、クルマの荷台に・・・
ライトバンのウシロが、荷物の重さで、グッと下がった。
通関士、最後に、「次回からは、オツナカ、つまり専門職にお金を払って頼んだ方が、いいですよ。全部、手続き知ってますし、互いに顔見知りですから。電話で、お宅の会社に、そう最初に言いましたけどね・・・個人で通関する人、私もこの仕事長いですが、初めてですよ。」
おいおい、電話で、そう言われていたのか・・・
しかし、この丸一日かかった「通関業務」、その後、私の仕事に、実に役に立った。
怪我の功名と言えばいいのだろうか。