ガス欠 Gas Empty (#52)
日曜、マークの家を出てから、カナダに向かい、国境で、
カナダのワーク・パーミット・ビザの手続きをし、さあ、これでもう帰るだけと、
クルマを走らせたが、その時、ガソリンの残量警告ランプが付いた。
乗っているクライスラーのキャラバン、前の経験より、そのランプが点灯してから、
70kmは、間違い無く走行出来る、と知っていた。
国境からロンドン市までは約100km。 その間に、2、3件は、
日本の高速道路で言う「サービス・エリア」があり、ガソリンが入れられる、そう思っていた。
現に、行きの道中、フュエル・スタンドを、最低でも一件、見ていたので、気楽に構えていた。
念の為、オドメーターをゼロにリセットした。
走行が50kmを超えた時点で、少し焦りを感じた。
あと確実に走れるのは20km・・・ もう、1件くらい、スタンドが有っても、いい筈・・・
道路脇の標識、目を凝らして注視するが、そういうサインボートが現れない。
60kmを超えた・・・
Free Wayは、暗闇を貫いている、道路脇には、建物も、何も明かりが無い・・・
Naokiに、余計な心配をさせたく無かった、もし、ガス欠となっても、
その時に教えればよい、前もって、余計な心配などせたくない、そう思っていたが、
Naokiが、ふとメーターを見て、「もう、ガス、殆ど無いじゃん!」
70km・・・
イカン、もし、ガス欠でFree Wayでクルマが止まったら危険だ、一般道に降りよう・・・
彼方に明かりが見える、とにかくロンドンに向かって、その明かりを目指そう。
80km・・・
無い・・・ どこにも、スタンドが無い・・・
私は、覚悟を決めた。 もう、いつクルマが止まってもオカシクない、
申し訳ないが、携帯電話でS君に助けて貰うしかない・・・
ただ、S君、週末は携帯の電源を入れていない・・・ もう一人の商社の人にするか・・・
名刺ホルダーを持って来て良かった・・・
ただ、外気温は無論、零下・・・ 早く来てもらわないと、寒いだろうなぁ・・・
最悪、数少ないが、他のクルマを止めて、スタンドまで乗せて貰うか・・・
と、私が色々と考えていた時、ある交差点を過ぎ、
Naokiが、右手に青い明かりが見える、あちらに行こう!と言う。
私は、たとえ数キロでもロンドン市に近づきたかった、しかし息子を信じよう、と決めた。
もう、こうなると、「賭け」とも言える。
クルマをUターンさせる時でさえ、私は、内心、ドキドキしていた。
止まらないでくれ・・・
85km・・・
クルマを少し左右に振りながら運転する、これはレーシング・ドラーバーも行うが、
タンク内のガソリンを、最後の一滴まで使う為だが、市販車に効果があるかどうか・・・
更に数キロ走ると、確かに、明かりが増えて来た。
消防署の前を通過。 最悪、ここに頼みこもう、「帰れ」とは言われないだろう。
何しろ、レスキューなんだから。
クルマ屋・・・ ハンバーガー屋・・・ あった! その向こうに、スタンド!
(今、これをタイピングしていても、あの時のドキドキ感がよみがえる・・・)
情けない話だが、ノドがカラカラに乾いていた。
Naoki、お前は実に大したもんだ!
翌日、この話をStaffにしたら、さすがに驚いていた。
Free Wayの80km以上の区間にガソリンを補給するトコロが無いという事、
それと、私の使っているクルマの警告灯が正確な事に。
「Hirabayashiさん、ラッキーですよ、私の知ってるKさんのクルマ、
そういう警告灯が点いてから10kmほど走ったら、ガス欠で止まってしまったそうですよ。
しかも、Kさん、カナダに来たばかりで携帯電話を持っていなくて・・・」
Naokiが一緒であった事、ガソリンタンクのセンサーが正確であった事、
これに助けられた私である、ああ・・・ 良かった・・・
Mar 16, 2005