海外研修 (フランス #1)
当時、私の勤めていた会社では、勤続を続け、ある年齢に達すると、
「海外研修」と呼ばれる、外国で開催される「見本市」を見学する、
いわば、「ご褒美」が与えられる慣習があった。
真面目な人は、その海外の見本市で、
新製品、先端技術の資料を、ダンボール1箱も2箱も集め、
また、日本に帰国してからも、レポート用紙何十枚の報告書を書いて
会社に提出していた。
ある日、その年の海外研修に、私が指名された。
私は、即座に、お断りをした。
そんな海外研修など、行きたくも無かった。
パンフレットも、会社へのReportも、役に立ったなどと聞いたことも無い。
海外研修に出かけた「先輩」のレポートは、読んだことも無かった。
だが、年功序列の世界、私がその年度に行かないと、
アトが詰まってしまう、と会社側が言う。
何とか、行って欲しい、どういう条件ならば行くのか、と聞いてきた。
ならば、と、私は以下のような条件を会社側に提案した。
まず、会社に役に立つ、貴重な資料など、見本市では配布などされていない、
なので、資料、パンフレットは一切持ち帰らない、と提案した。
更に、帰国後の会社へのReportも無し、お土産も無し、
また、コースも、自分で選ぶ、
この条件ならば、行っても良い、とした。
会社側は、全て私の希望を受け入れた。
色々な研修コースの中で、一番多くの国をまわり、
尚且つ、一番期間の長いコースを選んだ。
ドイツ、フランス、スペインというコースであった。
こうして私は、各国の各見本市の見学を、全てキャンセルし、
ヨーロッパへの、建前は「研修旅行」、
現実は、自分だけの自由な旅に出かけた。