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今、柳田邦男氏の「犠牲 サクリファイス」を読んでいる。
家族と離れ、カナダで一人で暮らす今、こういう状況で読んでみようと、
日本から持ってきたのだ。
同書には、以前から非常に高い関心を持っていた。
著者の家庭で、そういう悲劇が起きたことは、事実として知ってもいた。
読みたい、と思っていた、が、読みたくない、その内容が、間違い無く、
「重い」ことが分かっているので、興味はあるが、避けてきた。
ここのところ、歴史小説ばかり読んでいて、世の中には、本を、1ページを、
数分で読んでしまうテクニックがあるそうで、ビジネス書などは、
そういう読み方でも良いのだろうが、
「作品」として、一字一句に心血を注いで書かれた書物、私は、
そういう読み方は出来ない、それと同じように、歴史小説ばかり読んでいると、
ああ、またこの場面の話か、という気持ちも起きるのも事実で、
そういう不遜な態度に陥らない為にも、ここのところ、1冊、歴史小説を読んでは、
次の作品の間に、違うジャンルを読むようにしている。
前回は、アーサー・C・クラークの初期短編集を読んだが、
これは、正直、駄作集と思えた。
なので、今回は、やはり、前々から関心のある作品を選んだ。
同氏の作品なら、間違いはない、そう思っていた。
「犠牲」という作品に、挑むような気持ちで読み始めた。
題材は、著者の次男の死、イッキに半分まで読んだが、
本を読んで、これほど涙を流したことは、多分、最初ではないだろうか・・・
愛する家族の「死」、それが題材であれば、
悲しい内容というのは、当たり前・・・
いや、そうでは無い。 そんな単純なノンフィクション・レポートではない。
そんな、「浅い」話を、柳田邦男氏が、世間に出すわけが無い。
心から、血が滲み出るような、レポート・・・
生きるという事、死ぬという事、去るもの、残されるもの、
そして、何より、「生きた」という証とは・・・
愛するものの為に、我々は何をするべきなのか・・・
まだ、半分しか読んでいないので、全体の感想は書けないが、
この本、子を持つ親は、是非、一読するべき本である、そう、つくづく感じた。
著者の作品、ノンフィクション作品は、航空機事故関連から、
ガン治療の最先端、末期患者についてまで、色々と読んでいるが、
この「犠牲」は、間違い無く最高の作品だと言える。
人は誰しも、いつかは、この世を去っていく、そして、愛する人と、
永遠に別れなくてはいけない、しかし、「生きた」証を、
最愛の人の心の中には、唯一、そこだけには残すことは出来る、
また、残されたものは、その「証」により、支えられて、
明日から「生きて」いくことが出来るのではないだろうか・・・
悔やんでも、悔やみきれない禍根、しかし、去りゆくものの、
「生きた」証こそが、その禍根の免罪となるのではないだろうか・・・
その、途切れのない継承こそが、「生きる」という事なのかも知れない。
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